【データ】
初出: | 『子供の科学』 2巻1号 大正14年1月号 48〜53ページ 連載第2回(全3回) |
署名: | 医学博士 小酒井不木 |
章題: | 一/二/三/四 |
挿画: | 森田ひさし |
備考: | 角書き「科学探偵小説」 |
【同時代評・関連資料その他】
(「紅色ダイヤ(一)」を参照)
【収録書名】
(「紅色ダイヤ(一)」を参照)
【翻刻テキスト】 → 「紅色ダイヤ(二)」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『子供の科学』 2巻2号 大正14年2月号 148〜153ページ 連載第3回(全3回) |
署名: | 医学博士 小酒井不木 |
章題: | 一/二/三/四 |
挿画: | 森田ひさし |
備考: | 角書き「科学探偵小説」。編集部からの次回予告を附す。 |
【同時代評・関連資料その他】
(「紅色ダイヤ(一)」を参照)
【収録書名】
(「紅色ダイヤ(一)」を参照)
【翻刻テキスト】 → 「紅色ダイヤ(三)」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『苦楽』 3巻3号 大正14年3月号 74〜86ページ |
署名: | 小酒井不木 |
章題: | なし |
挿画: | 山名文夫 |
備考: | 角書き「探偵小説」 |
【同時代評・関連資料その他】
「解剖台上のロマンチシズム=小酒井不木論」権田萬治(『幻影城』昭和50年2月号)
「解説」中島河太郎(『日本探偵小説全集1 黒岩涙香 小酒井不木 甲賀三郎集』東京創元社・昭和59年12月21日発行)
「画家の罪?」(『叢書新青年 小酒井不木』博文館新社・平成6年4月25日発行)
【収録書名】
『幻影城』昭和50年2月号
『叢書新青年 小酒井不木』(博文館新社・平成6年4月25日発行)
『小酒井不木探偵小説選U』(論創社・平成29年11月30日発行)
【翻刻テキスト】 → 「画家の罪?」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『子供の科学』 2巻3号 大正14年3月号 34〜38ページ 連載第1回(全3回) |
署名: | 医学博士 小酒井不木 |
章題: | 一/二/三 |
挿画: | 森田ひさし |
備考: | 角書き:「科学探偵小説」 |
近所の貴金属製品工場から白金塊が盗まれた。主人の木村は就寝中で、助手の竹内一人が作業をしている最中に工場の窓を破った賊が彼を気絶させ、白金塊を持ち去ったらしい。木村夫妻を良く知る俊夫君は、白金塊奪回のために捜査に乗り出した……。
今回の見せ場は消えた白金の塊の行方と盗賊団相手の大立ち回り。柔道三段の「兄さん」の腕の見せ所。「Pのをじさん」こと小田刑事も登場し、俊夫君とともに盗賊団を一網打尽。犯人の侵入経路や白金の隠し場所を見事な推理で探り出し、敵の裏をかく俊夫君。状況判断も科学知識を応用した推理も一層冴える。しかし、有名な探偵とはいえ、ご近所とはいえ、警察より先に小学生に事件を知らせにくるおばさん。この界隈ではそれは当たり前のことらしい。お約束はお約束で、近親者が警視総監とか、そういう嘘臭い設定をわざわざ用意してもらったりせずに、探偵としての実力だけで立派に警察とためを張っている俊夫君はとてもかっこいいのだ。
【同時代評・関連資料その他】
「小酒井不木の児童文学 ―〈少年科学探偵〉シリーズを中心に―」上田信道(『国際児童文学館紀要 第11号』大阪国際児童文学館・1996.3.31)
【収録書名】
『少年科学探偵(不木少年科学探偵集 第一編)』(文苑閣・大正15年12月13日発行)
『現代大衆文学全集第七巻 疑問の黒枠外三十一篇』(平凡社・昭和3年3月1日発行)
『小酒井不木全集 第九巻 探偵小説中篇集』(改造社・昭和5年1月28日発行)
『少年冒険小説全集第三巻 少年科学探偵集』(平凡社・昭和5年6月12日発行)
『少年文庫152 少年科学探偵』(春陽堂・昭和7年12月25日発行)
『紅色ダイヤ』(平凡社・昭和21年4月20日発行)
『紅色ダイヤ』(世界社・昭和23年6月10日発行)
『少年少女世界の名作文学48 日本編4』(小学館・昭和42年1月20日発行)
『少年小説大系7 少年探偵小説集』(三一書房・昭和61年6月30日発行)
『小酒井不木探偵小説選』(論創社・平成16年7月25日発行)
『少年科学探偵』(真珠書院・平成25年8月10日発行)
【翻刻テキスト】 → 「暗夜の格闘」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『子供の科学』 2巻4号 大正14年4月号 26〜30ページ 連載第2回(全3回) |
署名: | 医学博士 小酒井不木 |
章題: | 一/二/三/四 |
挿画: | 森田ひさし |
備考: | 角書き:「科学探偵小説」 |
【同時代評・関連資料その他】
(「暗夜の格闘」を参照)
【収録書名】
(「暗夜の格闘」を参照)
【翻刻テキスト】 → 「暗夜の格闘(二)」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『女性』 7巻4号 大正14年4月号 146〜172ページ |
署名: | 小酒井不木 |
章題: | 一/二/三/四/五/六/七 |
備考: | 角書き「創作探偵小説」。 |
【同時代評・関連資料その他】
「『呪はれの家』を読んで―小酒井博士に呈す―」春田能為(『新青年』大正14年6月号)
「解剖台上のロマンチシズム=小酒井不木論」権田萬治(『幻影城』昭和50年2月号)
「解説」中島河太郎(『日本探偵小説全集1 黒岩涙香 小酒井不木 甲賀三郎集』東京創元社・昭和59年12月21日発行)
【収録書名】
『創作探偵小説選集 一九二五年版』(春陽堂・大正15年2月)
『創作探偵小説集5 恋愛曲線』(春陽堂・大正15年11月13日発行)
『現代大衆文学全集第七巻 疑問の黒枠外三十一篇』(平凡社・昭和3年3月1日発行)
『小酒井不木全集 第三巻 探偵小説短篇集』(改造社・昭和4年5月25日発行)
『明治大正文学全集56』(春陽堂・昭和6年8月15日発行)
『日本小説文庫219 恋愛曲線』(春陽堂・昭和7年12月15日発行)
『日本小説文庫416 展望塔の死美人』(春陽堂・昭和11年10月30日発行)
『探偵小説傑作集5 死の接吻』(三佯社・昭和22年4月30日発行)
『日本探偵小説全集 短篇集』(春陽堂・昭和29年5月30日発行)
『別冊・幻影城No.16 小酒井不木』(幻影城・昭和53年3月1日発行)
『復刻 創作探偵小説選集第1輯(1925年版)』(春陽堂・平成6年)
『恋愛曲線 復刻版』(春陽堂書店・平成11年7月20日発行)
『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』(筑摩書房・平成14年2月6日発行)
『小酒井不木探偵小説選U』(論創社・平成29年11月30日発行)
【翻刻テキスト】 → 「呪はれの家」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『医学及医政』 ■巻■号 大正14年5月号 ■〜■ページ |
署名: | ■ |
章題: | ■ |
挿画: | ■ |
備考: |
【同時代評・関連資料その他】
【収録書名】
単行本未収録
【翻刻テキスト】 → 「百」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『子供の科学』 2巻5号 大正14年5月号 59〜64ページ 連載第3回(全3回) |
署名: | 医学博士 小酒井不木 |
章題: | 一/二/三 |
挿画: | 森田ひさし |
備考: | 角書き:「科学探偵小説」 |
【同時代評・関連資料その他】
(「暗夜の格闘」を参照)
【収録書名】
(「暗夜の格闘」を参照)
【翻刻テキスト】 → 「暗夜の格闘(三)」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『キング』 ■巻■号 大正14年6月号 ■〜■ページ |
署名: | ■ |
章題: | ■ |
挿画: | ■ |
改題: | →「胃の中の小刀」「一匹の蚤」 |
備考: |
八月の暑い日、隅田川に浮いた男の腐乱死体。捜査に当たったのは「理論」担当の鑑識課主任、山村博士と「実地」担当の島崎刑事のコンビである。解剖の結果死因は溺死ではなく、胃の中にあった小刀が腹腔内の大動脈を傷つけた為の失血死であったことがわかる。腹にも背にも傷はなく、小刀は男が呑み込んだものとしか思われない。死体から割り出した特徴によって、男の身元は浅草で興行中の大正曲馬団の役者の一人ではないかと思われ、島崎刑事は一座の事情を探る。小刀呑みの松鶴は団長松月の妾松花と通じ、それが原因で一座には険悪なムードが漂っていた。そして遂に興行の打ち上げの席で松鶴と松月は衝突し、松花と松鶴は姿をくらましてしまう。それを知った松鶴の双子の兄弟松猿も「師匠にすまぬ」「腹を切る」と言い残して姿を消し、一座は人気の役者三人を失っていた。そして松猿の遺書が見つかった事から、事件は解決したかに思われたのだが……。
自殺か他殺か。松鶴か松猿か。答えを知るのは死体の着衣から飛び出した一匹の蚤。二段構えの捻りを加えた謎解きを、蚤が吸った血液の分析という科学捜査が支える。この科学捜査文脈の強度は大したものだが、おかげで鑑識の山村博士の方が目立ち過ぎ、「理論家」と「実際家」、二人揃って理想的な探偵、というせっかくの設定が死んでしまったのはご愛敬か。なお改題時に登場人物の氏名に変更があるが、内容に改変はない。
【同時代評・関連資料その他】
「一匹の蚤」(『叢書新青年 小酒井不木』博文館新社・平成6年4月25日発行)
【収録書名】
『稀有の犯罪』(大日本雄弁会・昭和2年6月18日発行)
『小酒井不木全集 第十三巻 探偵小説短篇集』(改造社・昭和5年6月15日発行)
『闘争』(春秋社・昭和10年10月5日発行)
『叢書新青年 小酒井不木』(博文館新社・平成6年4月25日発行)
【翻刻テキスト】 → 「一疋の蚤」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『子供の科学』 2巻6号 大正14年6月号 44〜49ページ 連載第1回(全3回) |
署名: | 医学博士 小酒井不木 |
章題: | 一/二/三 |
挿画: | 森田ひさし |
備考: |
国家機密である毒ガスの開発者遠藤博士が何者かに殺害された。警察は博士の長男信清を逮捕、娘の雪子は俊夫君を頼ってやって来る。博士は流感に罹って病床にあり、雪子を使いに信清を須磨から呼び寄せたのだが、雪子が信清を連れて戻ると、博士は何故か非常に気分を害していて彼女を病室にも入れないばかりか、信清の顔も見ないでひどい言葉を浴びせ、口論になったのだという。しかも博士の絞殺死体が発見されたのは、その口論があった翌朝で、凶器は須磨の旅館の手拭いだった。状況は明らかに信清氏に不利、しかし俊夫君は博士の死体から新たな手がかりを発見し、真犯人を推理する……。
今回の俊夫君は鑑識の腕の確かさを見せつけてくれる。死体の検分とその髭の分析、そして死体の爪の間に残った証拠の発見。屋内の捜索では現場に残るわずかな血痕を見逃さず、それが人血かどうかを調べるための知識もしっかり持っている。鑑識課員出る幕なし。毛髪検査や血液検査についての蘊蓄を、これほどわかりやすく子供向けに書ける不木はやはり凄い作家なのだ。
【同時代評・関連資料その他】
「小酒井不木の児童文学 ―〈少年科学探偵〉シリーズを中心に―」上田信道(『国際児童文学館紀要 第11号』大阪国際児童文学館・1996.3.31)
【収録書名】
『少年科学探偵(不木少年科学探偵集 第一編)』(文苑閣・大正15年12月13日発行)
『現代大衆文学全集第七巻 疑問の黒枠外三十一篇』(平凡社・昭和3年3月1日発行)
『小酒井不木全集 第九巻 探偵小説中篇集』(改造社・昭和5年1月28日発行)
『少年冒険小説全集第三巻 少年科学探偵集』(平凡社・昭和5年6月12日発行)
『少年文庫152 少年科学探偵』(春陽堂・昭和7年12月25日発行)
『紅色ダイヤ』(平凡社・昭和21年4月20日発行)
『紅色ダイヤ』(世界社・昭和23年6月10日発行)
『中学生の友』昭和25年11月〜12月号
『少年小説大系7 少年探偵小説集』(三一書房・昭和61年6月30日発行)
『小酒井不木探偵小説選』(論創社・平成16年7月25日発行)
『少年科学探偵』(真珠書院・平成25年8月10日発行)
『江戸川乱歩電子全集11 新宝島/智恵の一太郎』(小学館・2017年1月6日発行)
【翻刻テキスト】 → 「髭の謎」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『苦楽』 4巻1号 大正14年7月特別号 364〜384ページ |
署名: | 小酒井不木 |
章題: | 一/二/三/四 |
挿画: | 山名文夫 |
備考: |
【同時代評・関連資料その他】
【収録書名】
『現代大衆文学全集第七巻 疑問の黒枠外三十一篇』(平凡社・昭和3年3月1日発行)
『小酒井不木全集 第三巻 探偵小説短篇集』(改造社・昭和4年5月25日発行)
『日本小説文庫416 展望塔の死美人』(春陽堂・昭和11年10月30日発行)
『探偵小説傑作集5 死の接吻』(三佯社・昭和22年4月30日発行)
『愛知県史 資料編35 近代12 文化』(愛知県・2012(平成24)年3月31日発行)
『小酒井不木探偵小説選U』(論創社・平成29年11月30日発行)
【翻刻テキスト】 → 「通夜の人々」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『子供の科学』 2巻7号 大正14年7月号 ■〜■ページ 連載第2回(全3回) |
署名: | 医学博士 小酒井不木 |
章題: | ■ |
挿画: | 森田ひさし |
備考: |
(「髭の謎」を参照)
【同時代評・関連資料その他】
(「髭の謎」を参照)
【収録書名】
(「髭の謎」を参照)
【翻刻テキスト】 → 「髭の謎(二)」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『女性』 7巻7号 大正14年7月特別号 170ページ〜194ページ |
署名: | 小酒井不木 |
章題: | 一/二/三/四/五/六/七/八 |
挿画: | 山名文夫 |
備考: | 角書き「創作探偵小説」。 |
【同時代評・関連資料その他】
【収録書名】
『創作探偵小説集5 恋愛曲線』(春陽堂・大正15年11月13日発行)
『現代大衆文学全集第七巻 疑問の黒枠外三十一篇』(平凡社・昭和3年3月1日発行)
『日本探偵小説全集第一篇 小酒井不木集』(改造社・昭和5年3月20日発行)
『小酒井不木全集 第十四巻 探偵小説集』(改造社・昭和5年7月15日発行)
『明治大正文学全集56』(春陽堂・昭和6年8月15日発行)
『日本小説文庫415 大雷雨夜の殺人』(春陽堂・昭和11年11月5日発行)
『探偵小説傑作集5 死の接吻』(三佯社・昭和22年4月30日発行)
『大雷雨夜の殺人』(春陽堂書店・平成7年2月25日発行)
『恋愛曲線 復刻版』(春陽堂書店・平成11年7月20日発行)
『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』(筑摩書房・平成14年2月6日発行)
『小酒井不木探偵小説選U』(論創社・平成29年11月30日発行)
【翻刻テキスト】 → 「謎の咬傷」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『文芸日本』 ■巻■号 大正14年7月号 ■〜■ページ |
署名: | ■ |
章題: | ■ |
挿画: | ■ |
備考: |
人を殺しても全く良心が咎める事も無く、証拠も残さなかった男が自首して来た。死刑執行の前夜、男は告白する。良心の呵責に堪えられなかったんじゃない、心臓が呵責を始めてしまったんだ……。憎い女の右胸を短刀で一突きして始末した自分は、その夜ぐっすりと寝込んでいた。深夜急に目が覚めると、右胸の中でどきどきと大きな鼓動をさせているものがある。左胸に手を当ててみると、こちらは全く静かだ。心臓が、女を刺したのと同じ右の胸に移動してしまったのだ……。
短篇というよりも小品。オカルトじみた告白を結末で一気に医学文脈に塗り替える手法は不木先生お得意のコース。ちょっと専門用語に頼り過ぎ、語句がストーリーから浮いている感もあるが、不木的作風を示す一例にはなるだろう。
【同時代評・関連資料その他】
【収録書名】
『創作探偵小説集5 恋愛曲線』(春陽堂・大正15年11月13日発行)
『恋愛曲線 復刻版』(春陽堂書店・平成11年7月20日発行)
【翻刻テキスト】 → 「心臓の呵責」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『医文学』 1巻1号 大正14年8月号 14〜18ページ |
署名: | 小酒井不木 |
章題: | 一/二 |
挿画: | なし |
備考: |
ロンドン留学中にインフルエンザの大流行にやられた花田は、病床で留学仲間村山の訃報に接する。本来幹事として葬儀全般手配しなければならなかった花田だが、病の為、やむなくその任を友人の中島に依頼した。世話好きな中島は快諾し、万事手配を運んでくれた。が、暫くして後、今度はその中島がインフルエンザに罹り危篤との報せが舞い込む。今だ安静の床でその報に接し、日本にいる中島の家族のことを思う花田の元に、彼が亡くなったとの知らせが伝えられた……。
内容は全くの創作だと思うが、おそらく作者自身の留学期間中の経験を基にしたのだろう。留学生の孤独、郷愁、病の恐怖、留学生同士の仲間意識、連帯感等が短い中にしっかりまとまっている。探偵小説作家ではない、文学青年小酒井不木のエッセンスを感じ取る事の出来る貴重な作品である。
【同時代評・関連資料その他】
【収録書名】
単行本未収録
【翻刻テキスト】 → 「アイロニー」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『講談倶楽部』 ■巻■号 大正14年8月号 ■〜■ページ |
署名: | ■ |
章題: | ■ |
挿画: | ■ |
備考: |
四国の片田舎、犬神伝説が色濃く残る土地に生まれた男は、両親の死を契機に故郷を捨てた。男はカフェの女給と同棲を始めたが、女の露骨な愛情表現が段々と疎ましく思えてくる。ある日男は犬にふくらはぎを噛まれる事故に遭った。「犬の祟」! 男の脳裏に故郷に伝わる迷信が浮かぶ。即ち、犬神の家の者が普通の家の女と結婚すると夫婦は変死する……。犬神の祟りを怖れるあまり、男は強迫観念にさいなまれてゆく。医者に行っても安心出来ず、自らの血液が犬の毒素に侵され、犬の血に変わってゆくように思われてならない。また、女は彼に妊娠した事を告げ、異嗜が起こって変わったものが口にしたくて仕方がないと言いながら、火鉢の灰や泥を舐めるのだった。その姿がまるで犬のように見え、恐怖の限界に達した男は、手近にあった裁縫用の鏝を女の眉間めがけて打ち下ろした……。
死体を処分し、証拠を全て隠滅した筈の男だが、刑事達はある一点から男が犯した殺人の事実を暴く。その奇妙な暗合は本当に犬神の祟りだったのか? その証拠となる一点、については探偵小説的にも怪奇小説的にも絶妙の設定。しかしこの物語、何が怖いといって、男の血液を検査した医者が「たうとう一大發見をしましたよ」と言うのに、男が逃げ出してしまった為、この「發見」が何の事だったのか最後まで判らず仕舞いになっている事。妄想だけが膨らむ。ああ怖い怖い。
【同時代評・関連資料その他】
【収録書名】
『大衆文芸名作集』(双華社・大正15年6月10日発行)
『大衆文芸傑作選集』(至玄社・大正15年6月15日発行)
『稀有の犯罪』(大日本雄弁会・昭和2年6月18日発行)
『小酒井不木全集 第十三巻 探偵小説短篇集』(改造社・昭和5年6月15日発行)
『闘争』(春秋社・昭和10年10月5日発行)
『人工心臓』(国書刊行会・平成6年9月20日発行)
『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』(筑摩書房・平成14年2月6日発行)
【翻刻テキスト】 → 「犬神」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『子供の科学』 2巻8号 大正14年8月号 ■〜■ページ 連載第3回(全3回) |
署名: | 医学博士 小酒井不木 |
章題: | ■ |
挿画: | 森田ひさし |
備考: |
(「髭の謎」を参照)
【同時代評・関連資料その他】
(「髭の謎」を参照)
【収録書名】
(「髭の謎」を参照)
【翻刻テキスト】 → 「髭の謎(三)」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『新青年』 ■巻■号 大正14年8月増刊号 ■〜■ページ |
署名: | ■ |
章題: | ■ |
挿画: | ■ |
備考: |
強度のニコチン中毒の男がその夜呼び寄せた老按摩は、彼の身体を揉みしだきながら、薬物依存症を克服する方法について自分の体験談を話し出す。「そりや旦那、眼をつぶすに限りますよ。」……当時恋敵とのトラブルを抱えていた彼は、ある日遂にその男を刺殺してしまう。しかしその時男の返り血を右目に浴びてしまってから、彼の右目は激痛に襲われるようになり、遂には完全に見えなくなってしまった。捜査の目を逃れ、なおかつ右目を治療する為、彼は長らく入院生活を送っていたが、そこで彼はモルヒネ注射の得も言われぬ痛みの快感に取り憑かれてしまった。鎮痛剤が不要になってからも、今度は少しでも痛みの快楽を得る為に、身体の各所にモルヒネを注射する。唇、足の裏、陰部の皮下……そして身体中どこを探しても痛みを感じる場所を見つけられなくなった彼が気づいた、あと一箇所だけ残された、最も痛みを感じる場所……「眼ですよ。」
ニコチン、モルヒネの中毒症状という極めて医学的な状況を扱いつつ、恋敵の血の呪いという古風な因縁譚めいた不可思議な原因が否定される事なく同時に語られている。この和風怪談言説と西洋科学用語を併置・融合させた物語イメージは初期不木作品の特色の一つだ。医学・科学のコードを抜粋して評価するのもいいが、二種類のテイストの混合の具合を味わう事もお薦めしておく。
【同時代評・関連資料その他】
「名古屋作家史」岡戸武平(『め』第5号・昭和32年9月8日発行)
「解説」中島河太郎(『日本探偵小説全集1 黒岩涙香 小酒井不木 甲賀三郎集』東京創元社・昭和59年12月21日発行)
【収録書名】
『創作探偵小説集5 恋愛曲線』(春陽堂・大正15年11月13日発行)
『小酒井不木全集 第三巻 探偵小説短篇集』(改造社・昭和4年5月25日発行)
『新青年叢書3 小酒井不木傑作選集』(博文館・昭和4年6月18日発行)
『恋愛曲線 復刻版』(春陽堂書店・平成11年7月20日発行)
『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』(筑摩書房・平成14年2月6日発行)
【翻刻テキスト】 → 「按摩」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『新青年』 ■巻■号 大正14年8月増刊号 ■〜■ページ |
署名: | ■ |
章題: | ■ |
挿画: | ■ |
備考: |
初出時は「按摩」と同時掲載された作品。短篇と言うよりはむしろ小品で、「虚の証拠」と「実の証拠」の二題で構成されている。
「虚の証拠」は、検事と取り調べを受ける容疑者の女の会話。モルヒネによる毒殺犯と目される女を前に、検事は彼女の証言からいかにして犯行の事実を引き出すか?
「実の証拠」の方は検事と取り調べを受ける容疑者の男の会話で、容疑者の性別以外は「虚の証拠」とまるきり同様の形式でありながら内容はうまく対をなすように出来ている。つまらぬ原因で喧嘩となり、友人を殺してしまったと目される男は、証拠がないことを理由に犯行の一切を否認する。しかし検事は男が全く気づいていない、動かぬ証拠があることを知っていた――。
二題で一話。形式は面白い。内容はとってつけた感がなきにしもあらずだが。「虚」は容疑者の証言から、「実」は容疑者の気づかない物的証拠から、それぞれの容疑者が犯人であることをずばりと指摘する。本作のカテゴリを敢えて分類するとしたら、探偵小説というよりも、むしろパズル性の高いコントかもしれない。そういう意味でのナンセンスに通ずる要素が多分に含まれている。従って、初期習作の一つのようにして扱うよりも、後期不木作品に見られるコント風アプローチの萌芽として捉えるのがこの作品の場合良いのではないだろうか。
【同時代評・関連資料その他】
「名古屋作家史」岡戸武平(『め』第5号・昭和32年9月8日発行)
「解説」中島河太郎(『日本探偵小説全集1 黒岩涙香 小酒井不木 甲賀三郎集』東京創元社・昭和59年12月21日発行)
【収録書名】
『創作探偵小説集5 恋愛曲線』(春陽堂・大正15年11月13日発行)
『小酒井不木全集 第三巻 探偵小説短篇集』(改造社・昭和4年5月25日発行)
『新青年叢書3 小酒井不木傑作選集』(博文館・昭和4年6月18日発行)
『恋愛曲線 復刻版』(春陽堂書店・平成11年7月20日発行)
【翻刻テキスト】 → 「虚実の証拠」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『医文学』 1巻2号 大正14年9月号 95〜99ページ |
署名: | 小酒井不木 |
章題: | 一/二/三 |
挿画: | なし |
備考: |
私費留学生としてロンドンにやって来た吉野は、ここ数ヶ月実験がうまくゆかず焦燥の日々を過ごしていた。「それにしても金森君が羨ましい……」金森は同じ私費留学生だが、彼の実験は着実に成果を上げているようであった。実験は運次第、とはいえ同じ境遇の二人なのに何故自分ばかりが苦心せねばならぬのか。ある日思いあまった吉野は、金森が実験に使っている定規溶液の中身をただの蒸留水と入れ替えてしまう。しかし吉野の懊悩は収まるどころか、同じ私費留学生として異国の地で苦労している同志を困難に陥れてしまった後悔が余計に重くのしかかってくる。堪らなくなり、真相を告白すべく金森の居る研究室に戻った吉野だったが……。実は金森の実験も思うように進んで居らず、彼は溶液のすり替えに気づかなかったばかりか、溶液のせいで実験がうまくいっていなかったものと信じ、フラスコを叩き割る事で今までの欲求不満を解消し、大笑いする。それにつられて吉野も笑い、すべての鬱屈した感情を吹き飛ばすのだった。
感情の齟齬や過去の悪感情を取り敢えず全部棚上げにして、笑いで吹き飛ばすという結末は、不木の後年のコント趣味にも通じる感情かもしれない。「アイロニー」同様、探偵小説作家というイメージにとらわれない、大正期ディレッタント小酒井不木の横顔が垣間見られる小品である。
【同時代評・関連資料その他】
【収録書名】
単行本未収録
【翻刻テキスト】 → 「研究室」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『苦楽』 4巻3号 大正14年9月号 210〜225ページ |
署名: | 小酒井不木 |
章題: | 一/二/三 |
挿画: | 山名文夫 |
備考: | 角書き「探偵小説」 |
【同時代評・関連資料その他】
「解説」中島河太郎(『日本探偵小説全集1 黒岩涙香 小酒井不木 甲賀三郎集』東京創元社・昭和59年12月21日発行)
「山本禾太郎における事実と虚構」細川涼一(『京都橘大学大学院研究論集』平成19年3月発行)
【収録書名】
『現代大衆文学全集第七巻 疑問の黒枠外三十一篇』(平凡社・昭和3年3月1日発行)
『探偵小説全集2 小酒井不木集』(春陽堂・昭和4年10月8日発行)
『小酒井不木全集 第十六巻 探偵小説短篇集』(改造社・昭和5年9月15日発行)
『小酒井不木探偵小説選U』(論創社・平成29年11月30日発行)
【翻刻テキスト】 → 「ふたりの犯人」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『新青年』 6巻11号 大正14年9月号 166〜169ページ |
署名: | 小酒井不木 |
挿画: | |
備考: | 角書「創作」 |
【同時代評・関連資料その他】
【収録書名】
『創作探偵小説集5 恋愛曲線』(春陽堂・大正15年11月13日発行)
『現代大衆文学全集第七巻 疑問の黒枠外三十一篇』(平凡社・昭和3年3月1日発行)
『小酒井不木全集 第三巻 探偵小説短篇集』(改造社・昭和4年5月25日発行)
『新青年叢書3 小酒井不木傑作選集』(博文館・昭和4年6月18日発行)
『闘争』(春秋社・昭和10年10月5日発行)
「探偵実話」昭和31年7月臨時増刊号
『恋愛曲線 復刻版』(春陽堂書店・平成11年7月20日発行)
『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』(筑摩書房・平成14年2月6日発行)
【翻刻テキスト】 → 「遺伝」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『苦楽』 ■巻■号 大正14年10月号 ■〜■ページ |
署名: | ■ |
章題: | ■ |
挿画: | ■ |
備考: |
【同時代評・関連資料その他】
【収録書名】
『日本探偵小説全集第一篇 小酒井不木集』(改造社・昭和5年3月20日発行)
『小酒井不木全集 第十四巻 探偵小説集』(改造社・昭和5年7月15日発行)
『日本小説文庫416 展望塔の死美人』(春陽堂・昭和11年10月30日発行)
【翻刻テキスト】 → 「指紋研究家」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『講談倶楽部』 ■巻■号 大正14年10月号 ■〜■ページ |
署名: | ■ |
章題: | ■ |
挿画: | ■ |
備考: |
【同時代評・関連資料その他】
【収録書名】
『探偵小説全集2 小酒井不木集』(春陽堂・昭和4年10月8日発行)
『小酒井不木全集 第十七巻 探偵小説中篇集』(改造社・昭和5年10月10日発行)
『日本小説文庫415 大雷雨夜の殺人』(春陽堂・昭和11年11月5日発行)
『大雷雨夜の殺人』(春陽堂書店・平成7年2月25日発行)
【翻刻テキスト】 → 「烏を飼ふ女」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『子供の科学』 2巻10号 大正14年10月号 60〜65ページ 連載第1回(全3回) |
署名: | 医学博士 小酒井不木 |
章題: | 一/二/三/四 |
挿画: | 森田ひさし |
備考: | 角書き「科学探偵小説」 |
「Pのをじさん」こと小田刑事が、俊夫君のもとへ死体発見のニュースを持ってやって来た。死体は既に白骨化していたが、着物等の手がかりから、自宅より金銭を持って逃亡した二人の不良少年の内の一人らしいと判明した。そして地元の警察は継母に嫌疑をかけたという。死体を調査し、疑問を抱いた俊夫君はその頭蓋骨を借りて「肉附け」を試みようとするが、俊夫君の自宅に賊が侵入し、その頭蓋骨を奪っていった。はたして賊の正体は? 頭蓋骨は一体誰のものなのか? 周囲の動揺をよそに、これも計略のうちと落ち着く俊夫君。本物の頭蓋骨は無事に手元にあり、犯人は必ずこの「肉附け」された頭蓋骨の展覧を見にやって来ると予告するのだが……。
シリーズが進むにつれて俊夫君の科学的技術力がアップしてゆくが、復顔を個人の趣味レベルでやっているというのは物凄い設定である。よく指摘されるのは、不木の少年小説に対する真摯な姿勢と熱意。小手先の化学実験レベルの知識開陳では飽き足らず、当時最先端の犯罪捜査技術を積極的に俊夫君にやらせているのも、この熱意の表れか。知識としてのリアルさ・新鮮さを保ちつつ、単なるマニュアルではない物語に作り上げる作者の手腕・創作姿勢には脱帽する他ない。
【同時代評・関連資料その他】
「小酒井不木の児童文学 ―〈少年科学探偵〉シリーズを中心に―」上田信道(『国際児童文学館紀要 第11号』大阪国際児童文学館・1996.3.31)
【収録書名】
『少年科学探偵(不木少年科学探偵集 第一編)』(文苑閣・大正15年12月13日発行)
『現代大衆文学全集第七巻 疑問の黒枠外三十一篇』(平凡社・昭和3年3月1日発行)
『小酒井不木全集 第九巻 探偵小説中篇集』(改造社・昭和5年1月28日発行)
『少年冒険小説全集第三巻 少年科学探偵集』(平凡社・昭和5年6月12日発行)
『少年文庫152 少年科学探偵』(春陽堂・昭和7年12月25日発行)
『紅色ダイヤ』(平凡社・昭和21年4月20日発行)
『紅色ダイヤ』(世界社・昭和23年6月10日発行)
『中学生の友』昭和25年10月号
『少年小説大系7 少年探偵小説集』(三一書房・昭和61年6月30日発行)
『小酒井不木探偵小説選』(論創社・平成16年7月25日発行)
『読書がたのしくなるニッポンの文学 ようこそ、冒険の国へ!』(くもん出版・平成21年2月28日発行)
『少年科学探偵』(真珠書院・平成25年8月10日発行)
『江戸川乱歩電子全集11 新宝島/智恵の一太郎』(小学館・2017年1月6日発行)
【翻刻テキスト】 → 「頭蓋骨の秘密(一)」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『新青年』 6巻12号 大正14年10月号 152〜157ページ |
署名: | 小酒井不木 |
章題: | なし |
挿画: | ■ |
備考: | 角書き「創作」 |
探偵趣味の会の例会で、食人をテーマに一人ずつ話をする事になった。最後に残ったC元看護婦は、決心したようにそのエピソードを話し始める……。看護婦として産婦人科教室に勤めていた頃、有能なT先生執刀のもと、子宮繊維腫の患者の子宮剔出手術の講習会を行う事になった。大勢の聴講生の前でT先生は手術を開始する。子宮繊維腫の患者の子宮は林檎のように固くなる、そういいながら患者の子宮に指で触れたT先生だったが、そこは意に反して柔らかくくぼんだ。T先生は無言のまま手術を続ける。その後不可解な行動を見せたT先生は、手術途中で助手に処置を任せるとその場を後にする。患者の出血が止まらず、C看護婦はT先生を呼びに走る。そこで看護婦が見たものは……。
誤診とその証拠隠滅に材を取った非常にグロテスクなエピソード。C元看護婦の錯覚・妄想の可能性も残された語りになっているが、確かにこれを真に受けたら医者不審に陥るかもしれない。このような不審を招く原因になるとして、他にも「痴人の復讐」など不木お得意の医学的グロテスクを主題とした小説が槍玉に挙げられている。やや的外れな非難だとは思うが、逆に言えばそれだけ読者に影響が強かったという事でもあり、ホラー小説としては成功したと言えるだろう。
【同時代評・関連資料その他】
「マイクロフオン」甲賀三郎(『新青年』大正15年5月号)
「解説」中島河太郎(『日本探偵小説全集1 黒岩涙香 小酒井不木 甲賀三郎集』東京創元社・昭和59年12月21日発行)
【収録書名】
『創作探偵小説集5 恋愛曲線』(春陽堂・大正15年11月13日発行)
『現代大衆文学全集第七巻 疑問の黒枠外三十一篇』(平凡社・昭和3年3月1日発行)
『小酒井不木全集 第三巻 探偵小説短篇集』(改造社・昭和4年5月25日発行)
『新青年叢書3 小酒井不木傑作選集』(博文館・昭和4年6月18日発行)
『探偵小説全集2 小酒井不木集』(春陽堂・昭和4年10月8日発行)
『闘争』(春秋社・昭和10年10月5日発行)
『トップ』昭和22年6月増刊号
『探偵実話』昭和27年9月特別増刊号
『現代怪奇小説集3』(立風書房・昭和49年)
『現代怪奇小説集(上)』(立風書房・昭和52年)
『現代怪奇小説集(上)(新装版)』(立風書房・昭和56年12月)
『現代怪奇小説集』(立風書房・昭和63年)
『恋愛曲線 復刻版』(春陽堂書店・平成11年7月20日発行)
『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』(筑摩書房・平成14年2月6日発行)
【翻刻テキスト】 → 「手術」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『講談倶楽部』 ■巻■号 大正14年11月号 ■〜■ページ |
署名: | ■ |
章題: | ■ |
挿画: | ■ |
備考: |
【同時代評・関連資料その他】
【収録書名】
『日本探偵小説全集第一篇 小酒井不木集』(改造社・昭和5年3月20日発行)
『小酒井不木全集 第十四巻 探偵小説集』(改造社・昭和5年7月15日発行)
【翻刻テキスト】 → 「いたづら蟹」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『子供の科学』 2巻11号 大正14年11月号 ■〜■ページ 連載第2回(全3回) |
署名: | ■ |
章題: | ■ |
挿画: | ■ |
備考: |
【同時代評・関連資料その他】
(「頭蓋骨の秘密(一)」を参照)
【収録書名】
(「頭蓋骨の秘密(一)」を参照)
【翻刻テキスト】 → 「頭蓋骨の秘密(二)」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『キング』 ■巻■号 大正14年12月号 ■〜■ページ |
署名: | ■ |
章題: | ■ |
挿画: | ■ |
備考: |
【同時代評・関連資料その他】
「跳ね出す死人」(『叢書新青年 小酒井不木』博文館新社・平成6年4月25日発行)
【収録書名】
『稀有の犯罪』(大日本雄弁会・昭和2年6月18日発行)
『小酒井不木全集 第十三巻 探偵小説短篇集』(改造社・昭和5年6月15日発行)
『叢書新青年 小酒井不木』(博文館新社・平成6年4月25日発行)
【翻刻テキスト】 → 「跳ね出す死人」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『苦楽』 ■巻■号 大正14年12月号 ■〜■ページ |
署名: | ■ |
章題: | ■ |
挿画: | ■ |
備考: |
【同時代評・関連資料その他】
【収録書名】
『探偵小説全集2 小酒井不木集』(春陽堂・昭和4年10月8日発行)
『小酒井不木全集 第十六巻 探偵小説短篇集』(改造社・昭和5年9月15日発行)
【翻刻テキスト】 → 「硬骨漢」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『子供の科学』 2巻12号 大正14年12月号 ■〜■ページ 連載第3回(全3回) |
署名: | ■ |
章題: | ■ |
挿画: | ■ |
備考: |
【同時代評・関連資料その他】
(「頭蓋骨の秘密(一)」を参照)
【収録書名】
(「頭蓋骨の秘密(一)」を参照)
【翻刻テキスト】 → 「頭蓋骨の秘密(三)」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『女性』 ■巻■号 大正14年12月号 ■〜■ページ |
署名: | ■ |
章題: | ■ |
挿画: | ■ |
備考: |
開業医の「私」のところに、とある良家の若夫人が難題を持ち込んできた。折角妊娠したというのに、自分の容色が衰えるのが我慢出来ないので処置して欲しいというのだ。何とか翻意出来ないかと悩む「私」は、咄嗟にある女囚の出生にまつわる因縁話を始めた。……幼い頃から理由も判らずずっと母を憎み続けていた女が、自分の身売り話に逆上して母を殺害した。ある日彼女も交じって何人かの女囚達が身の上話をしていた時、堕胎罪で捕まった老婆が言った。昔ある女に堕胎を頼まれたがどうしてもうまくいかず、月満ちて赤ん坊が産まれてしまった。その場で処分しようと思ったが、赤ん坊の腹に二つの目玉の様な痣があり、それが母親と自分を睨みつけているように見え、恐れをなして殺すのをあきらめた事があった、と。それを聞いた女は老婆をその場で絞殺してしまう。その女こそ、幾度も堕胎されそうになりながら産まれてきた、その赤ん坊の成長した姿だったのだ……。堕胎の失敗がもたらすかもしれない恐ろしい物語。しかし現代人の夫人にはこんな怪談じみた説得は通用しない。「私」はやむなく、産婦人科の専門医である友人を紹介した。彼は胎児の人工育成の研究者で、実験用の胎児を密かに入手したがっている男であった……。
アナクロな因縁話と最新医学知識を同一の地平に置くのが不木流。この二段構えの説得に夫人はどう答えるか? かなりイカした結末。雰囲気的に佐藤春夫の『更生記』を思い出した。
【同時代評・関連資料その他】
【収録書名】
『創作探偵小説集5 恋愛曲線』(春陽堂・大正15年11月13日発行)
『現代大衆文学全集第七巻 疑問の黒枠外三十一篇』(平凡社・昭和3年3月1日発行)
『小酒井不木全集 第三巻 探偵小説短篇集』(改造社・昭和4年5月25日発行)
『恋愛曲線 復刻版』(春陽堂書店・平成11年7月20日発行)
【翻刻テキスト】 → 「難題」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」
【データ】
初出: | 『新青年』 6巻14号 大正14年12月号 2〜8ページ |
署名: | 小酒井不木 |
章題: | なし |
挿画: | ■ |
備考: | 角書き「創作」 |
絶対に処罰されない理想的な殺人方法。それは相手に自殺させる事、実行者の腕次第で十分に可能と、C眼科医は話し始めた……。一度恨みを抱いた相手にはいつか必ず復讐せずにはおかない性格の自分は、以前眼科教室で助手を勤めていた時、生まれつきの不器用さを主任のS教諭に何かにつけて罵倒されていた。そんなある日某劇場の女優が右目の緑内障の為に入院してくる。ヒステリー気味の傲慢な女で、彼女に診察の時の手際の悪さを嘲笑された自分は、S教諭にもこの患者にも同時に復讐する機会をうかがっていた。患者に事故が起これば主任のS教諭の権威は失墜する。症状が悪化した患者は眼球摘出手術を受ける事になり、自分が手術中何度も怒鳴られながら、手際の悪さを言い訳にして様々に苦心したにも関わらず手術は無事に成功する。しかし自分は秘かに「痴人の復讐」を完了させていたのだ……。
発表当時から物議を醸した一編。作者は谷崎の「途上」、乱歩の「赤い部屋」の如きプロバビリティの犯罪を描くかに思わせて意外なトリックを用意したつもりのようだが、読者の方はこの「痴人」である医師のキャラクタに非常な恐怖感と嫌悪感を抱き、トリックの意味づけなどは置き去りにしてその性質だけを問題にした。しかも不木はこうした、登場人物の特殊な性格づけに過ぎないものを「医弊を暴く」などと後付けで訳の分からない理屈で読者を納得させようとするが、それはいくら何でも無理というもの。現代のいかがわしい性格設定のキャラクタに慣れきった読者の方が、多分医師の性格付けなどには引っかかりを覚えず、メイントリックだけを評価するのではないかな。
【同時代評・関連資料その他】
「マイクロフオン」KOGA(『新青年』大正15年2月号)
「マイクロフオン」九頭龍之介(『新青年』大正15年2月号)
「マイクロフオン」甲賀三郎(『新青年』大正15年5月号)
「解説」中島河太郎(『日本探偵小説全集1 黒岩涙香 小酒井不木 甲賀三郎集』東京創元社・昭和59年12月21日発行)
【収録書名】
『創作探偵小説集5 恋愛曲線』(春陽堂・大正15年11月13日発行)
『現代大衆文学全集第七巻 疑問の黒枠外三十一篇』(平凡社・昭和3年3月1日発行)
『小酒井不木全集 第三巻 探偵小説短篇集』(改造社・昭和4年5月25日発行)
『新青年叢書3 小酒井不木傑作選集』(博文館・昭和4年6月18日発行)
『日本探偵小説全集第一篇 小酒井不木集』(改造社・昭和5年3月20日発行)
『日本小説文庫219 恋愛曲線』(春陽堂・昭和7年12月15日発行)
『闘争』(春秋社・昭和10年10月5日発行)
『新青年傑作選集4・怪奇編 ひとりで夜読むな』(角川書店・昭和52年10月15日発行)
『日本探偵小説全集1 黒岩涙香 小酒井不木 甲賀三郎集』(東京創元社・昭和59年12月21日発行)
『ミステリーの愉しみ1 奇想の森』(立風書房・平成3年)
『日本ミステリーの一世紀(上)』(廣済堂出版・平成7年)
『恋愛曲線 復刻版』(春陽堂書店・平成11年7月20日発行)
『怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 恋愛曲線』(筑摩書房・平成14年2月6日発行)
【翻刻テキスト】 → 「痴人の復讐」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(小説の部)」