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小説予告 あら浪 二六軒作

『女学生』は、読者大喝采声裡に今日を以て愈よ大団円を告げたり、次で現はるゝ新小説は『あら浪』なり、茲に才子佳人の紅涙あり、妖婦大賊の出没あり、幾多鼠賊の徘徊あり、職に忠実なる名探偵の苦心あり、世を果敢なみたる奇僧の奇行あり、而して彼等は何れも世のあら浪に翻弄されて、不可思議なる運命の前に跪く、求めずして変化多く、自(おのづ)からなる首尾一貫、以て現代明暗の両面を知るべきなり、作家は東京知名の文士が覆面(、)(※1)読者乞ふ幸に愛顧を給へよ。

(※1)原文句読点なし。

底本:『京都日出新聞』明治44年3月3日号(第4面)

(最終更新:2005年4月3日)