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余が病苦十年の体験録 肺結核を如何にして治癒せしか(一)

 刀圭界の新人としてまた、大衆文壇の鬼才として、皆様もすでに御承知の小酒井博士は、さきに、大正四年、不幸にして肺結核に冒され、而して一旦治癒されたのを、再び英仏に留学中猛烈なる咯血に逢はれ臥床半年、以来肺結核の医薬や食餌にたより能はざるを痛感し、一向(ひたすら)に精神力を以て之を克服することに努力十年、今や発病前と毫も変らざる生活状態を持続されつゝあります。こゝに博士十年の苦心になるその治癒法を特に乞ふて録し、世の同病に悩む人へ希望とよろこびをお頒(わか)ちいたしたいと思ふ次第であります。

底本:『婦人世界』大正15年10月号

(公開:2017年7月7日 最終更新:2017年7月7日)