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(俳句)(抄)

那須茂竹

 長男一郎死去に際し、師友各位より追悼の句を賜はる。録してもつて感謝の意を表す。   茂竹


宛知らて君が名を書く霜夜かな   不木

初東風や乳母すこやかに箸をとる   不木

春風や酒倉建てる木遣歌   不木

菜の花や一やすみして牛ぐるま   不木

むらさきに山は晴れたり賀茂祭   不木

だしぬけに若葉やしきの謡かな   不木

大原や八瀬やけぶりて夏の雨   不木

秋晴や空にとけこむ渡り鳥   不木

朝寒や水にうつりて日章旗   不木

冬の日や一つ一つの小石影   不木

つれあひの今年はあらで御取越   不木

寒月のたまゝゝ(※1)雲にあひにけり   不木

(※1)原文の踊り字は「く」。

底本:『ちゝろ集』(名古屋印刷・昭和2年12月25日発行)

【書誌データ】 → 「小酒井不木随筆作品明細 1927(昭和2)年」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(評論・随筆の部)」

(公開:2008年1月1日 最終更新:2017年9月22日)