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日曜と郵便

「日曜と郵便」――といふ問題は、直接には逓友会あたりから日曜及祭日の集配を休みにしてくれとの要求があるかに聞き及んだことから、その事を社会問題的に考へて頂くこともこの趣旨の一つではありましたが、それと同時に日曜祭日の集配休止といふことから直接どんな影響を受けられるか?――即ち今日の社会生活並に家庭生活において日曜といふものが実際にどんな役目をなしてゐ、又なさなければならないか?――を知りたいと思ひまして諸名士に伺ひましたところ斯く多数の御回答を得、大体において現代社会の意嚮を伺ふを得たのは単り編者の欣幸とするばかりではありません。此問題は単に郵便物に限られた問題ではなく、あらゆる問題に附随して今後随所に現はれて来る問題であると信じますから。
 御回答を賜はつた諸家の御厚志に対しては深く御礼申し上げます。(編者)

小酒井不木

 日曜に店も何もかも休むといふのなら兎も角ですが、やはり私は一回ぐらゐの配達はありたいと思ひます。外国に居たときも、やむを得ぬとはいひ乍ら、物足らぬ感じがしました。

底本:「中央公論」昭和2年7月号

【書誌データ】 → 「小酒井不木随筆集成(昭和2年)」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(随筆の部)」

(最終更新:2005年8月10日)