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桐下亭小宴 ―木下杢太郎氏邸にて― (抄)

坂田行雄

 松波院長 桂城 松波寅吉
 医学士 茂竹 那須太郎
 医大教授 元季 石田元季
 医学博士 浩甫 蔦谷貞之
 医学博士 不木 小酒井光次
 医学博士 桐下亭 木下杢太郎

流れ星雲の切間のあたりにて(甫)
 石摺りのこす旅の侍(木)

釣人を送り帰して啼く水鶏(甫)
 自転車とめて留女にからかふ(木)

花野すぎて千鳥の櫛を私す(木)
 見知らぬ人の封書なげ行く(竹)

帰る雁玉網関をおぼろにて(桐)
 紫壇の卓に頬杖をつく(木)

底本:『名古屋新聞』大正15年6月4日号

【書誌データ】 → 「小酒井不木随筆作品明細 1926(大正15)年」
【著作リスト】 → 「雑誌別 小酒井不木著作目録(評論・随筆の部)」

(リニューアル公開:2008年1月1日 最終更新:2008年1月1日)