『まちから 広報かにえ』 No.583 2020.March
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11月1日(日)〜11月15日(日)
名古屋市市政資料館(名古屋市東区白壁1丁目3番地)
蟹江町観光交流センター祭人
開催期間:2020年11月1日(日)〜2021年2月28日(日)※5月9日(日)まで開催延長
スタート:上の謎の答えがスタート地点です。
会場:愛知県蟹江町内一円※周遊距離:約5km(最短距離の合計)
『月経と犯罪 “生理”はどう語られてきたか』 田中ひかる 平凡社 12月16日初版第1刷
→ 『月経と犯罪―女性犯罪論の真偽を問う』 批評社 2006年3月
日本の犯罪論に「月経要因説」を打ち立てた寺田精一が、一九二二(大正一一)年に三八歳で早世したあと、本格的に犯罪学が勃興する。
多発する猟奇犯罪と大正デモクラシーを背景に活躍した一群の犯罪学者たちは、どんな女性犯罪論を唱え、月経と犯罪の関係をどう説明したのだろうか。
まずは、ロンブローゾに傾倒し、女性犯罪論を得意とした小酒井不木(一八九〇〜一九二九年)に注目したい。
『江戸川乱歩と横溝正史』 中川右介 集英社文庫 12月25日第1刷
→ 初出:『江戸川乱歩と横溝正史』 集英社 2017年10月
それまでは何の関係もなかった人びとが偶然によって知り合ったことで化学反応を起こし、大変革が起きることは、歴史にはよくある。日本探偵小説史においては、まさにこの一九二二年を中心とした数年間が、そんな時期だった。森下雨村が新雑誌を任されたこと、彼の恩師に馬場孤蝶がいたこと、神戸での西田政治と横溝正史の出会い、そして失業した江戸川乱歩が大阪にいて神戸で馬場孤蝶の講演会を聞いたこと――それ以外にも、森下雨村と愛知県にいる小酒井不木との交流が始まっていたのも、天の配剤であるかのようだ。
批評を先に読む人もいるだろうとの配慮からか、いまふうに言う「ネタバレ」にはなっていない。『二銭銅貨』が日本初の本格探偵小説だとしたら、小酒井不木による紹介文は日本初の本格探偵小説作品論となる。小酒井不木の『二銭銅貨』論によって、探偵小説批評の原型ができたとも言えるのだ。
『江戸川乱歩と横溝正史』 中川右介 集英社文庫 12月25日第1刷
→ 初出:『江戸川乱歩と横溝正史』 集英社 2017年10月
江戸川乱歩は年が明けて一九二五年(大正十四)一月半ば、まだ面識のない森下雨村に会うべく、上京した。その途中、名古屋市内に移転したばかりだった小酒井不木を訪ねるために名古屋で下車した。ところが、乱歩は駅の待合室で袴を直している間に、ベンチに置いた財布などを盗まれてしまった。探偵作家が置き引きにあったとなれば世間が笑うだろうと思い、恥ずかしくて交番へ届けることができない。仕方なくタクシーで小酒井不木邸へ向かい、事情を話して料金を立て替えてもらい、さらに旅費を借りるはめになった。
そんな醜態を演じた乱歩を、しかし、小酒井不木は歓迎し、二人は五時間か六時間、探偵小説について語り合った。
四月以来、乱歩と横溝との交流は続き、横溝が「キング」の賞金五〇〇円を得ると、十一月に二人は一緒に東京へ向かった。乱歩によれば、横溝が東京へ行きたいというので、同行したのだという。十一月の出版界は十二月発売の新年号で忙しい時期だ。乱歩も「新青年」新年号のために『踊る一寸法師』を執筆中で、大阪で前半を書いて、後半は東京滞在中に書いた。
二人は十月三十一日朝に出発し、名古屋で下車して小酒井不木邸を訪ね、夕方からは名古屋ホテルで食事をすることになり、そこへは国枝史郎もやってっきた。