参考文献/資料集 2017(平成29)年

(公開:2017年6月2日 最終更新:2017年9月15日)
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1月

“不穏な子供達”の系譜 / 小松史生子

『江戸川乱歩電子全集11 新宝島/智恵の一太郎』 小学館 1月6日発行

 いけすかなさといえば、同じく今回配信の小酒井不木による『少年科学探偵』シリーズの主人公、じゃっかん十二歳の塚原俊夫も負けてはいない。どころか、俊夫少年の可愛げのなさときたら、本当にこの少年像をジュヴナイルの主人公として設定して大丈夫なのかと疑いたくなるほどだ。

 年少の読者に科学知識の大切さを説くための読み物としてのシリーズのテーマを規定していることはよくわかるが、しかし、科学知識の他にも大事なこと――対面する相手への礼儀作法、思いやりといったようなものは、考えなくてよいのだろうか。俊夫少年の言動を子細に追っていくと、「読んで考える小説」という作者の言葉自体が、読み巧者な読者にとっては皮肉にも俊夫少年の或る種のモラルのなさを感じさせてしまうことになってはいないだろうか。

小酒井不木と『棠陰比事』 / 松村美奈

『愛知大学国文学』 愛知大学国文学会 1月発行

 

7月

探偵小説の《聖地》名古屋―江戸川乱歩と小酒井不木そして耽綺社― / 山下達治

『ふたば便り』 Vol.25 文化のみち二葉館【名古屋市旧川上貞奴邸】指定管理者アクティオ株式会社 7月30日発行

小酒井不木は探偵小説のパイオニア

 江戸川乱歩が大正十二年、「二銭銅貨」でデビューするときに推奨文を添えたのが小酒井不木であった。気鋭の研究者(生理学)であった不木は肺結核のため東北帝国大学の教授の職を辞し、故郷名古屋で、もともと趣味でもあった外国のミステリーの翻訳、研究、さらに創作にも進もうとしていた。乱歩より四歳年長の不木は、すでにこの世界での権威であった。不木によって外国のミステリーをしのぐ創作と認められたことによって、たちまち探偵小説界の寵児となった乱歩だったが、アドヴァイスをもとめてしばしば不木邸に通った。不木も乱歩の活躍に刺激されて、病身ながらも旺盛な文筆活動を展開する。「疑問の黒枠」は住まいのあった御器所を中心に、医大、老松町、千種刑務所、中村遊郭などを舞台に展開する本格的ミステリーで、代表作。

《猟奇の果を巡る東海旅行》のご案内 / 大矢博子

『本の雑誌』 本の雑誌社 7月号

 

9月

解説――謎とスリルに満ちたファン必読の長編探偵小説 / 山前譲

『疑問の黒枠』 河出書房新社 9月20日発行

 やがて不木自身も小説を書きはじめたが、この『疑問の黒枠』は「新青年」に連載された(一九二七・一〜八)、不木にとって初の長編である。俳人としても知られた不木らしい季節感たっぷりのイントロから、不可解な死亡広告をめぐるユーモアを交えた騒動があり、医学博士としての知識が披瀝されつつ、死体をめぐっての謎が深まってゆく。さらに自宅を構えていた名古屋を舞台にしてのスリリングな展開と、日本にようやく探偵小説文壇が形成された一九二〇年代後半を代表する長編である。

11月

少年王者舘「人工恋愛双曲線」

原作:小酒井不木 脚色・演出:天野天街 七ツ寺共同スタジオ 11月2日〜11月8日

人工恋愛双曲線 人工恋愛双曲線

(出演)
夕沈 雪港 小林夢二
宮璃アリ 池田遼 る
カシワナオミ 池本苑子

珠水
井村昴

echo

(スタッフ)
舞台美術:田岡一遠
美術製作:小森祐美加
照明:小木曽千倉
音響:岩野直人[ステージオフィス]
映像:田中博之
映像操作:小川雄基
舞台監督:山中秀一/平岡希樹
振付:夕沈/池田遼
音楽:珠水/きのこともぐら
チラシ:アマノテンガイ
チラシロゴ:田岡一遠
写真:羽鳥直志
企画協力:小松史生子[金城学院大学文学部教授]
制作協力:紺野ぶどう[大名/Contondo] 受付:若旦那家康/原千晶
制作:宮璃アリ/篠田ヱイジ

協力:うにたもみいち/小島祐未子/望月勝美/浜嶋将裕/サカイユウゴ/がんば/高橋真哉子/白木ちひろ/黒宮万理/山際一輝/下野司/馬場祥/近藤樺楊/林揚羽/空沢しんか/PON/グラーツィエ

杉浦胎兒/虎馬鯨/中村榮美子/白鴎文子/サカエミホ/☆之/水元汽色/水柊/藤田晶久/街乃珠衣