参考文献/資料集 2014(平成26)年

(公開:2017年9月15日 最終更新:2020年4月1日)
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3月

日本近代における「更年期女性」像の形成――「内分泌」をめぐる言説の考察を中心に / 原葉子

『ジェンダー研究』第17号(通巻34号) お茶の水女子大学ジェンダー研究センター 3月24日発行
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 女性がホルモンの支配下にあるとする解釈は、「更年期」の年代にある女性の精神的な変調と行動の逸脱を強調する言説を生みだしていくことにもつながった。すでに1910年代には、欧米の女性犯罪論を参考に、月経中の女性が犯罪を犯しやすいという言説が浮上していたが(田中 2006)、月経が閉止しようとする局面である「更年期」に対しても、同じ様な認識が付与されていた。(中略)1920年代の医学言説は、こうした逸脱像に、性腺の内分泌の減退という「根拠」を当てはめたものであった。生理学者で作家の小酒井不木は、『婦人公論』誌上で次のように述べている。

月経閉止が生理的の現象であることは申すまでもありませんが、同時に、この時期に於いて女子の心理にも変動を来すことは争はれぬところとなつて居ります。(…)産殖腺の内分泌が中止しますと、一般に身体が粗剛になり、精神が荒つぽくなるのでありまして、多くの犯罪学者は、この時期をもつて女性の最も危険な時期であると申します。即ちこの期の女子はたえず、気が苛々して落つかず、嫉妬や怨恨の情が増して来て、所謂「悪」の性質が露骨にならうとするのであります(小酒井 1926、p.41)

 ここでは生殖腺の内分泌が止まり、身体や精神がいわゆる「女性性」を失っていくことが、犯罪をもたらす要因とされている。

9月

名古屋大正期文芸雑誌考(三) / 木下信三

『あいち国文』Vol.8 愛知県立大学文学部国文学科あいち国文の会 9月30日発行

『胎動』の人々

(中略)岡戸武平も、当時は名古屋新聞社に勤務したが、結核のため新聞社を退きやがて小酒井不木の助手をつとめた。不木死後は不木全集編集にたずさわり、博文館勤務を経て作家生活に入った。

『不木句集』について / 湯本明子

『あいち国文』Vol.8 愛知県立大学文学部国文学科あいち国文の会 9月30日発行

 その『折々草』は、和紙を閉じたB6版ほどの大きさの控え帖で、七十四ページにわたって、不木自作の俳句二百九十句が自筆で書き留められていて、未発表の句も多いという。
 いつか機会があれば、それらも紹介したい。
 彼の俳句作家としての句域も、更に広がることだろう。