『世界の推理小説・総解説』 自由国民社 9月1日発行
闘争(昭和四年)
精神病学界の二巨星が相次いで世を去った背後に秘められた真相を追求する医学者作家の情熱をこめた晩年の代表作。
(中略)
小酒井不木(明二三〜昭四)は本名光次。愛知県生まれ。東京帝大医学部を卒業、東北帝大助教授となり海外留学中に喀血し、帰朝して教授となったが任地に赴かず退職した。大正一四年から探偵小説、翻訳、随筆など多彩な文筆活動をはじめ、『人工心臓』『恋愛曲線』など、神秘と科学を融合した作品や、長篇『疑問の黒枠』がある。