『トップ』 6月増刊号
『探偵新聞』 第4号 9月20日発行
◇故小酒井不木
日本探偵小説のパイオニヤであると同時に、育ての親であつた、その名著「殺人論」及び「毒及毒殺の研究」海外の探偵小説に関するエツセイ、又海外作品の翻訳も発表、で当時未熟であつた探偵小説界をひ益した事は実に大である、主要作品は「恋愛曲線」「のろはれの家」「疑問の黒わく」等、又スエーデンのズウゼの「夜の冒険」「スミルノ博士の日記」の翻訳もなつかしまれチエスタトンの「孔雀の樹」の翻訳は忘れられない
『探偵新聞』 第11号 12月5日発行
「新青年」の誕生は大正九年の一月で、(中略)小酒井不木は当時療養中で、東北帝大に赴任せずにいた所を、その探偵小説に関心をいだいていることを知つた雨村にすゝめられて最初に書いたのが、「科学的研究と探偵小説」で、十年のことであつた。ついで「毒と毒殺」「殺人論」が、十一年には「犯罪文学研究」が豊富な実例と欧米探偵小説に関する該博な知識をおり込んで発表され、斯界に珍重すべき文献を残した これが興るべき探偵小説にどれ程の示唆と刺激とを与へたか、又世人の探偵小説に対する理解に貢献したかは仲々いいすくせぬものがある。