書評・新刊案内

(公開:2006年1月23日 最終更新:2009年11月28日)
インデックスに戻る

『スペードのキング/四枚のクラブ一』

世界大衆文学全集 次回配本

『世界大衆文学全集月報 第十四号』 改造社 昭和4年5月3日発行

世界大衆文学全集 次回配本
ヅーゼ原著 小酒井不木訳(第十九巻)スペードのキング 四枚のクラブ一

「スペードのキングは探偵小説の(※)眉でドイルもルブランもこれに及びません」
 これは去る二月九日、訳稿と共に本社に寄せた小酒井不木博士の音信の一節である。その後幾許ならずして悲しくも吾等は博士の卜音に接した。即ち訳稿も音信も、博士最後の労作であり絶筆となつた。北欧の作家ヅーゼを紹介して本邦探偵小説史に王者の如く輝く博士の名訳は蓋し言ふが如くドイル以上であり、遙かにルブラン物を凌駕してゐる。

(※)原文ママ。