『新青年』 昭和10年11月号
江戸川乱歩編 小酒井不木傑作集 闘争
四六大判四〇〇頁 美麗函入
価 一・六〇 郵税 ・一四
十月十日発売
小酒井不木氏は日本探偵小説界の先駆者であつたばかりでなく、森下雨村氏と共に、我が探偵小説の生みの親である。而も現在の探偵小説愛読者にして彼の価値を知らぬものが多い事は遺憾千万である。之を痛感された乱歩氏が、その多くの作品の中から代表的傑作十数篇を選んで、本書を編まれた事は、乱歩氏自身の強い欲求からであつたと云へ、我が探偵小説に重大な示唆を投げたものと云はねばならぬ。悽愴、深刻、怪奇、而して興味尽きざる彼の作品が新に世に出た事は、非常な喜びと云はねばならぬ。数多くの現代作家の作品と併せて愛読者の書架を飾られん事を切望する。
東京・日本橋呉服橋二ノ五 春秋社
振替(東京)二四八六一